カナダGP

  • PPはバトン、MSが2番手スタートだったが、相変わらず異常なスタート力を見せた3、4番手スタートのルノーの2台に交わされる。MSに至ってはマクラーレンの2台にも交わされる。そもそもフロントローの2台は3ストップ作戦で車を軽くし復活をかけて挑んだのだが、重いはずのルノーにあっさり抜かれてしまった。カナダGPもいつもどおりの展開になるのかと思われたが…
  • ルノーにPPは要らない”ということが実証されたスタートだった。現時点で対抗できるのはマクラーレン(特にライコネン)くらいのものだろう。ただ、スタートで前に出たのがアロンソではなくフィジケラだったというのが不運の始まり。フィジケラのペースが上がらずアロンソは相当いらだっているようだったが、チームからは抑えていけという指示。まあチームオーダーは禁止されており、ブリアトーレ自身もフェラーリを散々批判していた手前「アロンソを先に行かせろ」とは口が裂けても言えなかっただろうが。フィジケラはハイドロ系のトラブルを抱えていたようで結局リタイア。フィジケラはまるで昨年の琢磨のようで本当についてない。アロンソは迫るモントーヤのプレッシャーに負けたのか?*1ウォールにヒットして自滅。まさかルノーの2台が全滅するとは思わなかった。
  • 予選でバトンPP、琢磨6番手とBAR復調が予想されたレースだったが、バトンはスタートでルノーの2台に抜かれ、中盤まで3番手を走行するも「ケベック州にようこそ」と書かれたウォールにぶつかってリタイア。セーフティカー導入のきっかけをつくる。琢磨はスタート直後ヴィルヌーヴにヒットされてトラブルを抱えたこともありペースが上がらず、20周過ぎにガレージにノーズから車を入れる。その後か成り立ってからレースに復帰しアメリカGPでの予選出走順位をいくらか後ろにするも、リアブレーキのトラブルでスピン、リタイアとなる。
  • スタート後のシケインモントーヤがMSの前を抑え、その隙にライコネンがパスするという見事な連係プレーをみせたマクラーレンの2台。ルノーの2台が消えてからはレースを支配するかに思われたのだが、バトンクラッシュによるセーフティカー導入がモントーヤにとって最悪のタイミング。チームは先にライコネンを入れ、次いでモントーヤをピットに呼んだが、ピットレーンからコースに合流する際に赤信号を無視して審議となり、その後黒旗失格となった。ライバルがいなくなって楽勝かと思われたライコネンだが、終盤MSの猛追を受け見た目ほど楽ではなかったようだ。それでもファイナルラップまでトップを守り続けそのままゴール。これで前戦抑えて走っていれば選手権の差を詰めることができたのに…と思わなくもないが、チームとライコネンのあくなき勝利への執念によってこの結果に結びついているというのも否定できない。
  • “レースでは速いのにスタート順位が悪いから結果がイマイチ。ならば車を軽くして予選順位を上げたらどうだろう?”と挑んだ結果フロントローを獲得したMSだが、様々な要因*2があったにせよスタートが悪すぎた。MSはその後ライバル達の自滅とバトンのクラッシュによるセーフティカー導入という幸運をフルに活かしてなんとか2位に入った。ピットスタートを選択したバリチェロは1ストップ作戦のおかげでいつの間にやら3位表彰台。相変わらずレース中(特に終盤のMS)の速さはさすがだったが、棚ボタ感は否めないフェラーリ。次なる課題はスタート。
  • 地元ヴィルヌーヴはオープニングラップで琢磨に接触フロントウイングを交換。カナダのファンはさぞガッカリしたことだろう。それでも上位陣が崩れたことによってポイント争いできるところまで粘れたのでホッとしているかな。マッサは上位陣が崩れていなくてもポイントゲットとなる4位入賞。コンストラクターズ争いで貴重な5ポイントを獲得している。
  • とはいえレッドブルはここでもしぶとくダブル入賞。こういう荒れたレースでの信頼性はフェラーリに次ぐ存在かもしれない。これでクルサードは来期の、5戦ぶり復帰のクリエンは今期のシート安泰?
  • 予選も決勝もいまひとつ見せ場のなかったウィリアムズ。ハイドフェルドはオーバーヒートでリタイア。ウェーバーは5位になるもザウバーの後ろ。チームとBMWとの確執も表面化しており、こんなんじゃバトンも移籍することを再考するんじゃないかな。
  • バトンのクラッシュで得をしたのがMSなら、損をしたのはモントーヤとラルフ。ラルフは2度目のピットストップ直後にセーフティカーが導入され周回遅れになってしまった。それでも6位入賞。トゥルーリモントーヤ失格で表彰台を狙えたがブレーキディスクが破損、エスケープゾーンに車を止めてリタイアとなった*3。地上波の直前特番では昨年のBARに替えて今年はトヨタで盛り上げようと必死なフジテレビだったが空回り。
  • 相変わらず身売りが噂されたりカーティケヤンとチームの確執が取り沙汰されるジョーダンで孤軍奮闘のモンテイロ。新人の連続8レース完走は新記録らしい。
  • 青旗がふられるもいっぱいいっぱいで速い車をうまく抜かせられず、上位ドライバー達を激怒させまくっていたアルバース。なんとか11位完走しストッダートは絶賛。まあミナルディの状態を考えるとそんなものだろう。
  • 地上波で気になったこと
    • 脇坂寿一のおでこのてかり具合
    • レース後、ロス・ブラウンと思しき人物がミシュランのスタッフと握手し何か言葉を交わしていた。単なる社交辞令?それとも…

決勝結果
1 9 ライコネン マクラーレンメルセデス M 1h32'09"290 198.755 Km/h
2 1 ミハエル・シューマッハ フェラーリ B + 0'01"137 198.714 Km/h
3 2 バリチェロ フェラーリ B + 0'40"483 197.310 Km/h
4 12 マッサ ザウバーペトロナス M + 0'55"139 196.792 Km/h
5 7 ウェバー ウィリアムズ・BMW M + 0'55"779 196.770 Km/h
6 17 ラルフ・シューマッハ トヨタ M 1 lap  
7 14 クルサード レッドブルコスワース M 1 lap  
8 15 クリエン レッドブルコスワース M 1 lap  
9 11 ビルヌーブ ザウバーペトロナス M 1 lap  
10 18 モンテイロ ジョーダン・トヨタ B 3 lap  
11 21 アルバース ミナルディコスワース B 3 lap  
12 16 トゥルーリ トヨタ M 8 lap  
13 10 モントーヤ マクラーレンメルセデス M 18 lap  
14 3 バトン BAR・ホンダ M 24 lap  
15 8 ハイドフェルド ウィリアムズ・BMW M 27 lap  
16 4 佐藤琢磨 BAR・ホンダ M 30 lap  
17 20 フリーザッハー ミナルディコスワース B 31 lap  
18 5 アロンソ ルノー M 32 lap  
19 6 フィジケラ ルノー M 38 lap  
20 19 カーティケイヤン ジョーダン・トヨタ B 46 lap

*1:サンマリノGPでMSを完封したアロンソだけにそんなことはないと思うが

*2:レコードラインではない偶数グリッド、フェラーリのTCSがルノーマクラーレンより数段劣る、ブリヂストンタイヤの特性etc… 全て憶測

*3:モナコについで狭いモントリオールでクラッシュにならなかったのは不幸中の幸い。トラブル発生があの場所でなかったなら…