イタリアGP

  • アロンソのグリッドが5番手から10番手に降格された。なんでも、予選後にマッサが「アウトラップ中のアロンソにアタックの邪魔をされた」とスチュワードに抗議し、それが受け入れられて予選ファイナルのベストラップ3つを抹消されたとのこと。開催地がイタリア、フェラーリのMSがルノーアロンソに12pの差をつけられている状況だけに、主催者にとってマッサの抗議は渡りに船だったようで、「ワールドカップで優勝したんだから不正をしたユベントスにも恩赦を」という意見の人が結構な数に上ったお国柄が発揮された。アロンソは記者会見で涙を浮かべながら裁定に異議を唱えたらしい。MSにとってアロンソとの差を詰めるチャンスになったのは嬉しいが、抗議したマッサとペナルティを下したスチュワードには釈然としない。マッサとアロンソについては年齢も近く、私の記憶に残っていないところで遺恨があったのかもしれない。そしてあれだけ離れていてペナルティを受けるのなら、少し前の1台予選の方式に戻さなければドライバーは予選で安心して走れないのではなかろうか。
  • 予選から好調だったBMWがスタートでも魅せてくれた。ストレートではハイドフェルドがMSを抜き、クビサはマッサの前に出た。しかしハイドフェルドシケインでMSに抜き返されそのままズルズルと後退*1。何とかポイント圏内に留まったもののクビサと明暗を分けた。10番手スタートのアロンソは6番手まで順位を上げ、フロントローの2台とクビサとのタイム差があったため3番手以降は接近戦となった。ピットインのタイミングの妙もあってクビサは初のラップリーダーも経験。更に展開のあやによってわずか3戦目にして表彰台に上った。デビュー戦では幻のポイント獲得も果たしている有望新人で、JVがBMW批判の際に「BMWが成功するためには自分のような経験豊富なドライバーが必要」という捨て台詞*2。がすっかりかすんでしまった。活躍したのが2006年イタリアGPでなければもっと注目されていたことだろう。
  • レースそのものはピットストップでMSがライコネンの前に出て勝負あり。レース後半はアロンソが何位でフィニッシュできるかに注目が集まった。マッサが自身も含め何台のマシンをMSとアロンソの間に入れられるかが鍵となったが、2回目のピットストップ後にアロンソに前に行かれてしまい役割を果たせなかった。しかし形振り構わないアロンソ潰しが失敗に終わったか、と思われた矢先にアロンソエンジンブローでリタイア。ハンガリーGPはピット作業のミスが原因だったが、アロンソのマシンが壊れてリタイアするのは久しく記憶にない。フェラーリフェラーリを勝たせたい人々による工作が意味をなさなかったという点においてアロンソのリタイアは悪くない結果だが、中断スタートでハードプッシュしたことがエンジンブローの一因となった観は否めない。MSとアロンソとの差が2p、コンストラクターズではフェラーリに逆転さえてしまい、ルノー陣営は胸中穏やかではないだろう。
  • レース後の記者会見では優勝したMSに記者から最初の質問が飛んだ。MSは「モンツァでのレースはこれで最後になる」と淡々とした口調で語り、今年限りでの引退を発表した。私は自分でも意外だったが、それほどショックを受けなかった。トルコGP後にMS引退が確定したかのように報道され続けていたからかもしれない。これでバーニーは賭けに勝ち*3、パトレーゼの最多出走記録は守られることとなった。

*1:シケインでMSに押し出されたときタイヤが汚れてしまいグリップを取り戻すのに1周かかった、とレース後の本人コメント

*2:「MSが引退したら世間はMSのことなどすぐに忘れてしまう」とも言っていたが、JVのことを忘れるほうが早いだろう。JV自身が語ったようにMSは良い意味でも悪い意味でも人々に強烈な記憶を残しているので

*3:http://formula1.g.hatena.ne.jp/skoba/20050905