すごい赤字金額なんだけれども

asahi.com : ニュース特集 - 球団合併問題

「12球団で赤字150億円」 日本型球団経営、限界に

 プロ野球近鉄オリックスの合併問題に端を発し、球界が揺れている。慢性的な赤字のパ・リーグは1リーグ制に活路を見いだし、巨人も同調する姿勢だ。一方、収支が悪化するセ・リーグの巨人を除く5球団は2リーグ制維持で結束し始めた。「12球団連結で約150億円の赤字」とされる球界の窮状は球団やリーグ数を減らせば解決できるのか。プロ野球ビジネスのバランスシートをのぞくと、選手年俸の高騰や一部球団への選手の偏りといった根本的な病巣にメスを入れないかぎり、再生は難しいようにみえる。

 「1リーグ10球団になると、広島は2、3年で厳しい局面にさらされるだろう」

 1リーグ制を推進するある球団オーナーは、1リーグ制移行後の球界をこう予言した。パ球団だけで背負ってきた巨額の赤字が、セ球団にも平均的に行き渡る――。そんなシナリオが頭にある。

 その根拠は、巨人戦の放映権だ。広島東洋カープの03年度の売上高は65億4300万円。これまで選手獲得では支出を抑えるとともに、年俸が2億円を超す選手は巨人や阪神に放出。その一方で、「1試合1億円」とされる巨人戦の放映権収入を頼りに、毎年数千万円の利益をなんとか確保し続けてきた。

 それが、1リーグだとパ球団との巨人戦が組まれるため、現在14試合ある巨人戦の主催試合が6試合減り、ざっと6億円の減収になる。巨人戦が減れば観客の減少も避けられず、このままでは大幅な赤字転落を免れない。

 広島だけではない。横浜も放映権料の減少に加え、近鉄などの合併球団から引き受ける選手の人件費や移動費もかさむため、赤字が10億円拡大すると試算する。同じく収支が悪化する阪神も「1リーグでは問題解決にならない」と反対にまわった。あるオーナーはいう。「1リーグ制になるとセ・リーグの再編も一気に進む」

 これに対する巨人。渡辺恒雄オーナーは、7日のオーナー会議後の会見で、自信を示した。「巨人とダイエーや大阪に出来る新球団との対戦など、おもしろいカードが組める。これが何でマイナスなんですか」

 2リーグでは日本シリーズに進出しない限り実現しなかったセ・パ球団の対戦が日常的に組めるほか、球団合併で選手層の厚いチームを作った方が密度の濃い試合が見られる、という思いが根底にあるからだ。

 とはいえ、「おもしろいカード」を強調する背景には、巨人戦の視聴率の低迷があると指摘する向きは多い。ビデオリサーチによると、90年代まで20%超が当たり前だった巨人戦の視聴率は、4月が15%、5月14.6%、6月13.6%と前年同月より1.2〜2.6ポイント下回った。

 ある球団オーナーは語る。「視聴率が10%を下回ったら、放映権料が吹っ飛ぶ恐れがある。スポンサーが逃げるのを恐れるテレビ局からしたら、メロドラマをやった方がいい、と。だから巨人も真剣ですよ」。視聴率の低下を食い止めるには、新鮮味のある対戦が必要というのだ。巨人戦が目当てのパの6球団も、この流れに賛同する。

 2リーグではパ球団がもたないし、1リーグだとセ球団が悲鳴を上げる。巨人戦を柱とした日本型の球団経営モデルが、すでに限界に来ているのは明らかなのだ。

 阪神の野崎勝義・球団社長は14日の会見で、「球界の総収入が、総支出に対して不足している」と認めた。全体として野球ビジネスは、事業としては事実上破綻(はたん)しているという表明だ。大半の球団が持続できたのは、「広告宣伝費」として親会社の補填(ほてん)を受けていたからだ。それを続ける余裕はどの球団にもなくなりつつある。

 朝日新聞の調べでは、12球団のうち親会社の支援なしで03年度に黒字だったのは、巨人、阪神、広島の3球団だけ。日本一に輝いたダイエーでさえ、全国中継が少ないことから、赤字だった。西武や日本ハムも実質的な赤字が数十億円規模なのは確実で、12球団の当期損益を足し引きすると、約150億円のマイナスになる。

 最大の要因が、フリーエージェント(FA)制度の導入で高騰した選手年俸だ。例えばロッテの場合、30億円余りの収入に対し、「人件費の比率が100%を超えている」(重光昭夫オーナー代行)。オリックスとの合併を目指す近鉄も、収入が44億円しかないのに、中村、ローズ(現巨人)の2人に計約10億円を支払った。そのうえ、有望選手を獲得する際に動く金銭は、闇に包まれたままだ。

 あるパ球団のオーナーは「実際、1リーグになっても、人件費を半分にしないと経営は成り立たない」。FA制度の見直しや年俸総額の上限を定めるサラリーキャップ制が議論に上がるのは、こうした事情がある。

 さらに、プロスポーツ経営に詳しいニッポンスポーツマネジメントの大坪正則・代表取締役は、「チーム間で選手が均等化しないと、プロスポーツは発展しない」と指摘する。企業活動で最も重視されるべき「顧客」であるファンに、お金を払って球場に足を運んでもらうためには、互角の戦力を持つ球団が白熱した試合をしなければいけない、という考え方だ。

 そのためには、新人選手の逆指名制度や、資金力のある球団に選手が集中する仕組みを変える必要が出てくる。大坪氏は、戦力均等策を取ってきた米プロフットボールリーグ(NFL)の例を参考にするべきだ、と説く。 (07/19 20:31)

 日本政府がやってることに比べれば大したことはないかも・・・
 努力しなくても高かった視聴率が低下してきたことなんかは小泉政権の支持率に似ている。