三崎亜記「となり町戦争」

となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

  • 敢えて例えてみると
    • 戦争が公共事業の一環として組み込まれている異常な近未来の日本の姿は「バトルロワイヤル」の中の日本(大東亜共和国だったか?)的であり
    • “となり町との戦争”という物語の中枢を担う事象について、戦争の目的や過程、戦闘の様子、勝敗といった直接的な描写を一切しない手法はあだち充的である
  • 直接的な描写はないのだが“広報誌に淡々と記される戦死者数”“となり町町長の乗る車をじっと見つめる体の一部を失った人達”“戦争終了後となり町町長の息子と結婚するヒロイン”といった表現でこの戦争の悲惨な断片が垣間見える。